不二子、引き籠る
連休三日目、早くも連休の3分の1が終わってしまったことに悲しくなる。
行き場のない気持ちは6畳間の中心に鬱々と溜まり、一つの黒い球体となった。
そんな球体の向こうには薄らと6畳間が見える。周りの景色を反射させているものだと思っていたがよく見るとその中の6畳間の中に自分の姿が見える。中に居る自分はギターを弾いたり本を読んだりとこちらの存在を気にも留めず気ままに過ごしている。どうやら球体に映っている世界は平衡世界のようだ。同じような6畳間に居る自分の姿がやけに阿呆に見える。
ただ一つ違うところがあったと言えば中に居る自分には揉み上げがあった。
それはもうふさふさとした立派な揉み上げが生えていた。そんな揉み上げの生え際にまたひとつの6畳間があった。其の6畳間には自転車のメンテナンスをしている自分の姿があった。
その自転車はフルカーボンの今の給料の2か月分ほどの金額のする最新モデルだ。その6畳間の主である自分には揉み上げはなかったものの襟足が生えていた。
私が現在刈り上げているはずの襟足が彼には生えていた。そんな襟足は伸び、最早シダ植物の様に首元を這っている。そのシダ植物に絡みつく様に1匹のアオダイショウが昇っていく。
その上る先にはまたも1つの6畳間があった。
其の6畳間の主は間抜けそうな顔をし、部屋の中心に浮かぶ黒い球体を眺めている。如何にも阿呆な顔をした男は見紛うことなく、私だった。
そんな、はるです。
不二子さんはと言いますと、一切と行っていいほどに動かない。微動だにしない。
消化も粗方終わっているだろう。昨日までは比較的動いてたではないか、なのに今日は何があった。何故動かない。
何が気に入らないのか、言ってくれ。言わなければ分からん。
なぜこんなにも動かないのか、皆目わからん。
どうしてくれる。
そんな不二子を尻目に私は朝一遅れながらアオダイショウ探しに出かけました。
雨上がりは日光浴に出る、という噂を聞いていた為にこれは狙い目じゃ!台風一過、この千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかん。
そう思い出てみたものの、一匹も見つけることが出来ない。
数時間粘ってみたものの見つけることが出来ないまま終わってしまった。
変に活動的に過ごしてしまった為に昼過ぎに睡魔に襲われるわ今日は何とも微妙な一日でした。
一日を無駄にしたような気持ちがぐるぐると巡ります。
なんてこったい。